「バガボンド」は1998年から連載がスタートした人気漫画ですが、2014年から長期休載になっています。読者の中には「未完結のまま打ち切りになってしまうのでは」という心配の声もあり、今後再開するのか気になる方も多いのではないでしょうか。そこで今回は「バガボンド」の休載理由や作者の現在、今後について調査しました。
目次
漫画「バガボンド」とは
1998年から「モーニング」にて連載を開始し大人気となった「バガボンド」とは、どのような漫画なのでしょうか。まずは作品の概要や作者、タイトルの意味について解説していきます。
宮本武蔵の半生を描く作品
戦国時代末期から江戸時代初期を舞台に、実在した剣豪である宮本武蔵の半生を描く作品です。
現代の宮本武蔵のイメージを決定付けた吉川英治さんによる大衆小説「宮本武蔵」を原作としていますが、原作をそのままコミック化したのではなく、独自の設定や解釈の上で武蔵が数々の戦いを経て自己を確立していく過程を大胆かつ斬新に描いています。
2000年に「講談社漫画賞一般部門」「第4回文化庁メディア芸術祭マンガ部門」、2002年に「手塚治虫文化賞マンガ大賞」を受賞しています。
作者はスラムダンクの井上雄彦
作者は井上雄彦(いのうえ たけひこ)さんで、有名なバスケ漫画「スラムダンク」の作者でもあります。井上雄彦さんは1967年に鹿児島県で生まれ「キャッツ♥アイ」や「シティーハンター」などで知られる北条司氏のアシスタントを経て、1988年に「楓パープル」でデビューしました。
代表作となった「スラムダンク」は1990年から連載を開始し、累計1億部を超える大ヒット作となりました。「バガボンド」は1998年から「モーニング」にて連載をスタートし、休載しながら現在も連載は続いており井上雄彦さんにとっての最長期作品となっています。
また1999年からは「週刊ヤングジャンプ」にて車椅子バスケを描いた作品「リアル」の連載を開始し、単行本も15巻まで刊行されています。
バガボンドの意味とは
作品のタイトルである「バガボンド」は普段聞き慣れない言葉で、どのような意味なのか分からない方も多いのではないでしょうか。
バガボンドは「放浪者・無宿人・乞食・ごろつき・あてにならない」といった意味がある英語の「vagabond」を由来とするカタカナ語です。漫画タイトルのバガボンドは宮本武蔵を表す言葉として「放浪者」「さすらい人」という意味で使われています。
バガボンドは未完結で打ち切り?その理由は?
宮本武蔵の半生を描いた人気作「バガボンド」は2014年に最新刊である37巻を発売後、8年以上に渡って長期休載となっています。
以前にも2004年に1年間、2010年に1年半休載していましたが、2014年から長年休載が続いていることから「未完結のまま打ち切りなのでは」と気になる方もいるでしょう。ここでは、休載が続いている理由や完結するのかどうかについて調査しました。
作者のスランプ?
「バガボンド」の休載が続く中、2022年12月3日に映画スラムダンク「THE FIRST SLAM DUNK」が公開され、映画公開に伴って行われたインタビューで作者が「バガボンド」についても語っていました。
インタビューでは「いろんな意味で自分の幅を広げてくれた作品」「早く描きたい」と話しています。過去のインタビューでは「スランプで続きが描けない」と明かしており、描きたい気持ちはずっとあるが描けない状況だということです。
スランプの原因について、「スラムダンク」「リアル」とは違い現代と離れた世界観で精神的な世界でもあるため、キャラクターに感情移入してしまい気分が落ち込んでしまうという作者のコメントもありました。
作者の体調不良が悪化
公式には、休載となった理由は体調不良であるとされています。作者自身のブログでは2010年から体調不良を告白しており「バガボンド」を美しく完結させるために自分を追い込んだことで、体調不良が悪化してしまったことも長期休載の理由の一つです。
2014年に体調不良を理由に連載していた「バガボンド」と「リアル」を休載し、2019年に「リアル」の連載を再開するまで4年半漫画を描かない状況が続きました。休載中の2015年にスケッチ集「円空を旅する」発売、2021年には2022年公開の映画「スラムダンク」の監督・脚本の担当を発表しています。
休載の理由は体調の悪化ということで「リアル」は2019年に連載を再開しているので、体調が回復すれば「バガボンド」の連載再開も期待できるのではないでしょうか。
乱丁で憤慨したことも完結が遅れている理由?
スランプや体調不良だけではなく、過去に乱丁で作者が憤慨したことも完結が遅れる原因となっているのではと言われています。2009年5月28日発売の「週刊モーニング」26号で、編集部のミスにより「バガボンド」の1ページ目と4ページ目が入れ替わるという乱丁が発生したのです。
これに対し、井上雄彦さんは自身のブログで「何でこんなミスが起きるのか分からない、理解不能」「怒りを通り越してただ呆然」と怒りをあらわにし「格好悪すぎです。本当に申し訳ありません」と自ら読者に謝罪もしていました。この乱丁トラブルが原因で一時バガボンドが休載したのですが、現在は和解しているとのことです。
バガボンドは本当に完結するの?
ぐっもーにん☀️
1612年(慶長17年)4月13日に宮本武蔵と佐々木小次郎が巌流島で決闘をしたことから、本日は決闘の日らしいです!
正直、宮本武蔵については全然知らないです😅バガボンドで読んだぐらいか😂
バガボンドは決闘の日までいくのかな…?続きを気長に待ってます😘ぬたぁん#おは戦50413am 🌴 pic.twitter.com/MLo4ntJSCZ
— 広瀬ゆき│富山住みのKindle作家(卵 (@hi_yuki_Kindle) April 12, 2023
長期休載が続く中、本当に完結するのかどうか、完結せずに打ち切りとなってしまうのか気になる読者も多いでしょう。以前も佐々木次郎が山狩りから脱出するという話を書いた後に2年以上休載したことがありましたが、佐々木小次郎に気持ちが入りすぎてしまい、作者自身も気持ちが落ち込んだためと話しています。
この時は気持ちを立て直すまでに時間がかかったものの、途中で辞めるつもりはなかったため連載は再開されました。休載しても再開した過去がある上、作者の井上雄彦さんは「放り投げたと思われたくない」「ゾーンに入れば続編を描く」とも語っているため、時間はかかったとしても完結させるのではないでしょうか。
バガボンド完結に向けての最新刊の発売日と現在の状況
人気漫画「バガボンド」は打ち切りではなく休載している状態であり、完結しないまま終わることはないでしょう。過去に作者である井上雄彦さんは「連載が再開したら1年で完結させる」「ゾーンに入ったら続編を描く」と語っています。では、完結に向けた最新刊はいつ発売される予定なのでしょうか。
最新刊の発売日はまだ不明
2023年4月現在「バガボンド」は37巻まで発売されています。次の最新刊となる38巻の発売日が気になりますが、今のところ発売日は不明です。休載となってから続きを描いていないため、単行本の最新刊の発売は「週刊モーニング」での連載が再開してからとなるでしょう。
「リアル」の連載は再開しており、映画「スラムダンク」の監督・脚本の仕事もしているので体調は回復傾向にあるのではと言われていますが、作者ご本人が「続編はゾーンに入れたら描く」と語っています。井上雄彦さんのTwitterや「バガボンド」公式サイトなどを見ても、現在のところ連載再開についての情報はありません。
最新刊に収録予定のストーリーは?
久しぶりに本棚開けて思ったのですが、そういえば最近単行本買ってないなぁ。と言うかどんな話だったか忘れてしまった。1巻から読みなおそう🎵#バガボンド#バガボンド38巻 pic.twitter.com/14iUT6bPoB
— Moipix (@Moipix1) July 6, 2020
最新刊には323~329話の7話が収録される予定で、323~327話はすでに連載にて掲載された「旅衣」「小倉の宝」「名宝」「侍たるもの」「忠興という名の」の5話です。武蔵一行が小倉に向けて旅立つ一方で、小次郎は細川家の指南役相手に立ち合いをし次々と倒していきます。
馬に乗り町に出かけた小次郎の前に又八が現れますが、素通りされてしまうのでした。小次郎は「腕は立つが礼儀作法がなっていない」と、狭い部屋で教育係から礼儀作法を教えられることになりますが、全くやる気がありません。
武蔵は京都の三条で細川忠興の父であり、織田信長の時代から活躍した名将・幽斎の元を訪れていました。もうそろそろ小次郎と出会うというところまで話は進んできているので、最終章に入っていくのでしょうか。
現在他の連載とスラムダンクの映画化も影響?
「バガボンド」の休載が続いているのは、作者のスランプや体調不良というだけではなく他の連載やスラムダンクの映画化も影響しているのではと言われています。
もう一つの連載である「リアル」は2019年5月23日発売のヤングジャンプで連載を再開し、最新刊となる15巻も発売されました。2作を同時に連載するのが難しいとすれば、まずは「リアル」を優先させたという可能性もあるでしょう。
また2022年12月3日には映画「THE FIRST SLAM DUNK」が公開され、井上雄彦さんは監督・脚本を務めました。「リアル」の連載再開と映画「スラムダンク」の制作で忙しく「バガボンド」の連載再開が後回しになってしまった可能性もあるでしょう。
呪術廻戦がバガボンドのよだれのシーンをパクリ?
めっちゃひさびさに絵を描いたら集中しすぎてよだれが垂れるっていうバガボンドの武蔵、呪術廻戦の虎杖みたいなことになった pic.twitter.com/rPqtf5bFrm
— むらさきいぬ (@Purple_INUUU) August 29, 2022
呪術廻戦といえば2018年から連載され2020年からアニメ化もされた人気作品ですが、実はその中で「バガボンド」で描かれたよだれのシーンをパクったという疑惑が上がっています。
呪術廻戦で虎杖悠仁が集中してよだれを垂らすシーンが描かれており、それが「バガボンド」で極限まで集中した宮本武蔵がよだれを垂らすシーンと酷似していると指摘されたのでした。
リスペクトによるオマージュの可能性もありますし、高い集中力を表現するために「無意識によだれを垂らす」という構図がたまたま似てしまった可能性もあるでしょう。
バガボンドはまだ完結していない!連載再開を待とう
今回は、宮本武蔵の半生を描いた人気漫画「バガボンド」が休載している理由や作者の現在について調査しました。2014年から長期休載しているため「未完結のまま打ち切りとなるのでは」という声もありますが、まだ完結しておらず打ち切りではありません。
連載の再開や最新刊発売はまだ未定となっているものの、作者の体調や状況が整えば完結に向けて連載が再開される可能性は高いです。続きが気になる「バガボンド」の連載を楽しみに待ちましょう。