おやすみプンプンは、漫画ファンの間では「鬱漫画」と呼ばれることのある作品です。今回は、おやすみプンプンの最終回や結末について見ていきましょう。おやすみプンプンには、独特の世界観に引き込まれていくような不思議な魅力があるのが特徴です。本記事は、おやすみプンプンの最終回のネタバレを含みます。
おやすみプンプンとは
おやすみプンプンは、読んだ後になんとも言えない憂鬱な気分になる「鬱漫画」と言われている作品です。ここからは、おやすみプンプンの作品概要やあらすじについて紹介します。
おやすみプンプンの作品概要
おやすみプンプンは、浅野いにお先生によって2007年3月から「週刊ヤングサンデー」で連載されていました。週刊ヤングサンデーが2008年に休刊されたことで、2008年からは「ビッグコミックスピリッツ」に移行することになります。
その後2013年11月に最終話を迎えて全13巻で完結しました。コアなファンが多く累計発行部数は、300万部を超えています。2009年に行われた第13回文化庁メディア芸術祭マンガ部門では、審査員委員会推薦作品に選ばれました。
作者の浅野いにお先生は、実写映画もされた「ソラニン」の作者です。思春期から青年期までの成長を描いた作品が多く、独特な世界観と共感のしやすさが若者の心をつかんでいます。おやすみプンプンでは、アナログとデジタルを組み合わせて、よりリアルな風景を再現しているのが特徴です。
おやすみプンプンのあらすじ
おやすみプンプンは、主人公のプンプンの幼少時代から青年になるまでの7年間が描かれています。平凡でどこにでもいる少年だったプンプンの人生を変えたのが、小学生の時に転校してきた田中愛子でした。
プンプンの父親がプンプンの母親に暴力をしたことで、プンプンの母親は入院することになりました。母親の入院期間は、プンプンは叔父である雄一の元で過ごすことになります。ある日、学校の作文で「夢」をテーマにする作文を書くことになりました。
プンプンは、父親からもらった天体観測用の望遠鏡をきっかけに、宇宙に興味を持っていました。そのため、宇宙学者になることが夢だと作文に書いたのです。書いた作文を発表するのを恥ずかしいと感じたプンプンは教室から逃げ出してしまいました。
教室から抜け出したプンプンを迎えにきたのは、プンプンが気になっている田中愛子でした。感情が高まったプンプンは、田中愛子に告白し、田中愛子はキスをして答えます。プンプンと田中愛子の甘酸っぱい青春が始まるかと思われました。
ですが、田中愛子の母親は、熱心に宗教活動をしており、母親と共に田中愛子も宗教活動を行なっていました。クラスメイトの間で、宗教活動の話はすぐに噂になってしまったのです。複雑な家庭環境を抱えたプンプンと田中愛子の成長が描かれていきます。
おやすみプンプンの主な登場人物
愛子ちゃんとプンプンが銀杏T着てるとか胸熱すぎん…(;_;)!? pic.twitter.com/OD3GsroeSd
— ト (@tomomo510) December 17, 2018
おやすみプンプンの魅力の1つは、個性豊かなキャラクターです。ここからは、おやすみプンプンの主な登場人物について見ていきましょう。
登場人物①プンプン
おやすみプンプンの主人公は、プンプンこと小野寺プンプン(プン山プンプン)です。物語の当初のプンプンは、父親と母親と暮らすどこにでもいる少年でした。ある日、父親が母親を殴ったことで、父親は逮捕され、母親は入院し、両親は離婚することになります。
作中でプンプンは、ひよこの落書きのような画風で描かれます。そして、プンプンの家族である父親と母親と叔父も同じひよこのような姿です。
他の登場人物は人間として描かれているのに、プンプン達だけがひよこのような姿なのには理由があります。その理由は、作者の浅野いにお先生が、主人公の姿を固定したく無い、主人公は読者自身であってほしいと考えたからだそうです。
また、プンプンのセリフは描かれず、心情だけが描かれています。そのため、読者が自分の解釈でプンプンのセリフを考えることができるのが特徴です。
登場人物②田中愛子
メンヘラだから昔はおやすみプンプンの愛子ちゃんをアイコンにしてた pic.twitter.com/XU4yrqn2r3
— 叶乃 (@knn153) December 19, 2021
田中愛子は、プンプンが小学生の時にやってきた転校生で、プンプンの初恋の女の子です。プンプンから告白されたことで、徐々に仲を深めていきました。ですが、母親が熱心に新興宗教の活動をしていることなどで、2人はすれ違い始めていきます。
プンプンと田中愛子は、中学校と高校の間は特に関わりなく、2人の関係は自然消滅してしまいました。ですが、卒業後に偶然プンプンと再会したことが、田中愛子の運命を大きく変えることになったのです。
登場人物③神様
プンプンが呪文を唱えると突然現れて、助言やアドバイスをするキャラクターです。神様の存在は、プンプンの叔父から教えて貰いました。ですが、大人になったプンプンは、神様はプンプンの想像上のもので、自意識で構成されたものであることに気づくことになります。
おやすみプンプンは13巻で完結
おやすみプンプンは、6年半の連載期間を経て、2013年11月に最終巻である13巻で完結を迎えました。事件をきっかけにプンプンと田中愛子は、幼い頃にした約束を守るために2人で逃げることになります。
おやすみプンプン最終回の結末は?ネタバレ解説!
おやすみプンプンは、最終回に向かうにつれて衝撃のストーリーが展開されていきます。ここからは、おやすみプンプンの最終回の結末をネタバレありで見ていきましょう。
おやすみプンプンの結末①13巻のネタバレ
おやすみプンプンの最終巻である13巻では、田中愛子との逃避行の末の別れがメインで描かれます。そして、最後には今までプンプンに関わってきた思いがけない人物に再会しました。
小学生の時に同じクラスだった晴見俊太郎や、一緒に漫画を作った南条幸にも再会します。自身にとっては大切な思い出だった記憶も、時間が経つにつれて相手の記憶は薄れていくという儚さが描かれています。
おやすみプンプンの結末②プンプンと愛子の逃避行
おやすみプンプンのこのシーン大好き。今まで影も形もなかったのに、突然松岡修造が出てきて愛子ちゃんのこと応援してて笑う pic.twitter.com/H6yprivIeV
— 佐野丁寧 (@sano_no_teinei) August 23, 2020
プンプンと田中愛子が再会し、小学生の頃に「遠くへ行く」という約束を守るために、田中愛子の母親に話をつけに行きました。その話を聞いた田中愛子の母親は激怒して、刃物をむけたのです。
田中愛子を守るために、プンプンは田中愛子の母親と揉み合いになり、首をしめました。最終的に、とどめを刺したのは田中愛子ですが、2人は殺人の共犯となったのです。
田中愛子の遺体を山に埋めた後に、2人は幼い頃の約束を叶えるためと逮捕から逃れるために、逃避行することになります。田中愛子は、母親から暴行を受けたことで、かなりひどい怪我を負っており、最終巻では市販の痛み止めが効かないほどに悪化してしまいました。
おやすみプンプンの結末③愛子
プンプンに散々「死ぬな」とか「生きてて良かったと思える瞬間がくるから」とか言ってた愛子ちゃんが、夢を叶えた直後プンプンの寝隙ついて首吊り自殺するのきつい…
ずっと生き方探してた愛子ちゃんが自殺して、死に方探してたプンプンが愛子ちゃん自殺したあとに仲間達と生きてるの皮肉すぎる。 pic.twitter.com/FufkF1sBLr— 10月15日までVG引退Dスタンガイ (@BlooDaiki) July 8, 2023
プンプンと愛子が逃避行する先として決めていたのが、親戚が働いている病院でした。ですが、2人が目的地に着いた時には、病院はなくなっており、誰もいない状態だったのです。
連日、テレビやラジオでは田中愛子の母親の遺体の発見と田中愛子が行方不明になっていることが報道されていました。さらに、田中愛子は母親から受けた暴力で、怪我をしたことでかなり弱った状態になります。
空き家ばかりの街で、途方に暮れたプンプンは、田中愛子に自首することを提案します。田中愛子は、自首を拒み続けていました。その日は、空き家に忍び込んで眠りにつくことにします。
翌朝プンプンが起きると、田中愛子が空き家で首を吊っているのを発見しました。プンプンは、田中愛子が救急車で運ばれていく姿を見て、1人で東京へ帰ることにします。
おやすみプンプンの結末④プンプンの自殺
プンプン序盤での好きなシーンの一つ、小野寺雄一の衝動的な自殺未遂、結局死ねずに大隈翠に縋ってしまう人間くさく脆いところ pic.twitter.com/wWSRvLyApE
— ぴろ (@pirolchoco) July 7, 2023
東京に戻った後のプンプンは、子供の頃に田中愛子と遊んだ廃工場で自殺を試みました。ですが、プンプンは自殺に失敗してしまいます。プンプンを発見して助けたのは、過去に一緒に漫画を描いた南条幸でした。
病院に搬送されたプンプンのところに、警察が訪れたのです。警察は、田中愛子と母親について尋ねましたが、プンプンは重要参考人ということになり、逮捕はされませんでした。
おやすみプンプンの結末⑤晴見との再会
おやすみプンプンで一番好きなキャラはプンプンママです。いつもこのコマで泣いてしまう…プンプンに対して一番の不器用な味方だと思ってる。
好きなタイプは晴見くんだが、、、 pic.twitter.com/LgWHHQVIfA— 猫背 (@love_or__die) July 7, 2023
最終回では、プンプンの同級生でクラスメイトの晴見俊太郎とプンプンが再会しました。晴見俊太郎は、小学5年生の時に転校してしまうキャラクターです。久しぶりの再会に、プンプンは喜びましたが、晴見俊太郎はプンプンの名前を思い出すことはできませんでした。
晴見俊太郎は、小学校の先生をしており、自身が受け持つクラスに転校生がやってきました。その転校生を見て1人の男の子が顔を赤らめる姿が描かれています。幼い頃のプンプンと田中愛子に姿を重ねてしまうシーンで物語は幕を閉じました。
おやすみプンプン結末の名言を考察
『おやすみプンプン』のプンプンは読者が自分を投影しやすいようにあのフォルムで描かれているとしたら、僕らが田中愛子という存在を忘れられない限り愛子ちゃんの七夕の願いは叶い続けることになる。 pic.twitter.com/UoLtUnaAZu
— なかむら (@my_free_t) July 4, 2023
田中愛子は、最後の夜に「自分のことを忘れないでほしい」とプンプンに語りかけています。その約束に対して、日々を淡々と過ごしていく中で、田中愛子との記憶は徐々に薄れていきました。
しばらくして、プンプンの夢の中に田中愛子が現れました。プンプンは、田中愛子に対して「ごめんね、僕は嘘つきだよ」と語りかけます。この言葉は、田中愛子と交わした約束を時間の経過によって守れそうに無いことを謝罪したものでした。
田中愛子と逃避行をしている時のプンプンにとっては、田中愛子がこの世の全てだと思っていました。ですが、徐々に記憶が薄れていくことで忘れていくという人間の心を映し出しています。過去と決別することで、プンプンは日常に戻っていくのでしょう。
おやすみプンプンは波乱に満ちている
今回は、おやすみプンプンの最終回について紹介しました。おやすみプンプンは、ストーリーが進むにつれてプンプンの人生が波乱に満ちていきます。怒涛の展開で、ページをめくる手が止まらなくなること間違いなしです。ぜひ、おやすみプンプンの結末をご自身の目で確認してください。