週刊少年マガジンで連載されていた人気漫画の「炎炎ノ消防隊」は知っていますか?作中では聖職者のシスターが人体自然発火現象で炎に包まれ、暴走してしまった人、焔ビトに向けてラートムを行います。この記事では、このラートムとはどの様なものなのか、ラートムの意味などをご紹介しています。ラートムを行う場面やその背景を理解して、炎炎ノ消防隊をさらに楽しくみてはいかがでしょうか。
目次
【炎炎ノ消防隊】とは
炎炎ノ消防隊(えんえんのしょうぼうたい)は週刊少年マガジンで2015年43号~2022年13号まで連載されていた漫画です。2022年の5月には世界累計発行部数が2000万部を突破した人気作品です。2022年の2月23日発売、13号にて最終回をむかえました。単行本は2022年5月17日発売の34巻にて完結となっています。
炎炎ノ消防隊の人気は漫画にとどまらず、テレビアニメとしても放送されました。第1期は2020年の5月からアニメ放送がスタートし、その後第2期まで放送されています。
炎炎ノ消防隊の作品概要
炎炎ノ消防隊の作者は大久 保篤(おおくぼ あつし)氏です。本作は人体自然発火現象で炎に包まれた体が変異し、突然暴れ出し、焔ビトと呼ばれる怪物へと変化する者や、この現象で引き起こされる脅威と戦う特殊消防隊の姿を活躍を描いた消防士が主役のSF漫画作品となっています。
サスペンスの要素も含みながら、得体の知れない相手と戦うバトルシーンやアクションといったの要素を取り入れたサイエンス・ファンタジー作品となっています。
炎炎ノ消防隊のあらすじ
ときは太陽暦佰九拾八年の東京皇国で起こった、大災害を機に突如、人の体が炎に包まれる人体発火現象が起こり出した。火の発火と共に炎に包まれた人々には皆、同じ特徴があった。それは、炎に包まれるや我を失い、その命が尽きるまで周囲を焼き尽くすということであった。
この人体発火現象を解明すると同時に一般の市民を守ために作られた組織が特殊消防隊である。主人公である森羅 日下部(しんらくさかべ)は幼い頃からヒーローになることに憧れていた。
12年前にしんらは人体発火現象が原因となる火災で実の母親と弟と亡くし、辛い経験をした。この出来事で炎の脅威から人々を救いヒーローになるという夢を持ち、訓練校を卒業し、第8特殊消防隊へと配属するのであった。
幼い頃に体験した人体発火現象で家族を亡くしたしんらは当時、火災が起きた現場に母親、弟、自分、そしてもう一人何者かがいた場面を忘れずにいた。そして、この犯人の正体を追うべく、物語は進んでいく。
【炎炎ノ消防隊】ラートムとは
炎炎ノ消防隊の話の中ではラートムという言葉とともにあることを行うシーンが見られます。このラートムとは一体どのような意味を持ち、どのような行為なのでしょうか。ここでは作中に登場するシスターが行うラートムについてご紹介していきます。
ラートムの意味・使い方
ラートムは作中に登場する聖職者のシスターが使っているセリフの1つです。作品を見ているとお祈りを終える最後に使われている事が多く、おそらく「アーメン」や「エイメン」と同様の意味を持つ言葉である事がわかります。
どのような場面で使われるかというと、自然発火し、炎に包まれ、暴走した人を作中では焔ビト(ほむらびと)と呼びますが、この焔ビトとなった者と戦い、制圧するのが消防隊員達です。
しかし、もともと人間であった焔ビトを殺すという行為を避けるために、消防隊員達が制圧した後、しんらも所属する特殊消防隊が焔ビトと戦い聖職者であるシスターが祈りを捧げるのです。この祈りの最後にラートムと唱えます。
ラートムのポーズ
「アーメン」や「エイメン」と唱えるときには十字をきり、両手を胸の前で合掌しますが、炎炎ノ消防隊のラートムにも決まりのポーズがあります。作中でシスターをはじめ、消防隊員がラートムと唱えるときには下記のように行います。
- 両方の掌を合わせます。
- 親指以外の指は指先のみくっつけて、掌を膨らまします。
- 親指のみ掌の中に入れ親指の爪同士を合わせます。
こうするとハートマークを逆さにしたような形になります。このポーズがラートムと唱えるときのポーズになります。
ラートムの由来
ラートムという言葉自体はでは弔うという意味を持った炎炎ノ消防隊、独自の造語です。ではラートムの由来とはどの様なものなのでしょうか。まず、ラートムと唱えるのは聖職者のシスターだという事を思い出してください。これは焔ビトの魂を太陽神の元へおくるために行う弔いの行為なのです。
そして、特殊消防隊が鎮魂を行う事で、人を殺すのではなく、弔うということが成立します。この行為によって焔ビトとなってしまった家族や知人などの遺された人々も死を受け入れ、向き合う姿勢がとれるのです。
どの様な原因で人体発火を起こし、焔ビトとなってしまったのかは分かりません。しかし、焔ビトとなってしまった人は無念でしょうし、遺された人達はこの事実を簡単には受け入れることは出来ないでしょう。
だからこそラートムが必要なのです。そして、焔ビトを鎮魂する特殊消防隊員達にとってもとても意味のある言葉なのです。
シスター以外もラートムと唱える
上記で「焔ビトを鎮魂する特殊消防隊員達にとっても意味のある言葉」と記しましたが、ラートムはシスターだけが使うものではありません。
焔ビトを退治した後に特殊消防隊員達もラートムと唱えています。そして、作品を見ていると、シスターや特殊消防隊員達以外にもラートムと唱えているので人々の生活の中でも使われている言葉だということが分かります。
しかし、修行を積んできたシスターが使うラートムとその他の人々が使うラートムとではまた、違う力があるのでしょう。
【炎炎ノ消防隊】ラートムを唱える前の祈りの言葉の意味
ラートムは焔ビトを弔う意味があるということが分かりましたが、作中ではラートムと唱える前に祈りの言葉を告げます。ここからは作中で出てくる祈りの言葉を5つ分けてご紹介します。祈りの言葉の読み方とその言葉にはどの様な意味があるのでしょうか。
炎ハ魂ノ息吹
- 炎ハ魂ノ息吹(ほのおはたましいのいぶき)
意味…「炎は死にゆく者の魂を火で表している」
黒煙ハ魂ノ解放
- 黒煙ハ魂ノ解放(こくえんはたましいのかいほう)
意味…「黒い煙は炎によって死にゆく者の魂を命や肉体から引き離し、苦しみから解き放つ」
灰ハ灰トシテ
- 灰ハ灰トシテ(はいははいとして)
意味…「死にゆくものは死にゆくものとして」
其ノ魂ヨ
- 其ノ魂ヨ(そのたましいよ)
意味…「死にゆく者の魂は」
炎炎ノ炎ニ帰セ
- 炎炎ノ炎ニ帰セ(えんえんのほのおにきせ)
意味…「永遠の眠りにつきたまえ」
【炎炎ノ消防隊】アイリスがラートムを唱えるシーン
ここからは作中で、シスターであるアイリスがラートムを唱えるシーンについて、第1話と第148話をあげてご紹介していきます。
ラートムを唱えるシーン①第1話
1つ目は炎炎ノ消防隊、第1話でシスターのアイリスが唱えたラートムについてです。第1話から焔ビトを弔う為に、聖職者のシスター、アイリスが登場しラートムを行なっています。
第1話での登場はシスターとしての役割がいかに重要かということがわかります。これは焔ビトを倒すシーンは出てきますが、ただ単純に敵を倒すのではなく、ラートムを行うことで弔う、鎮魂するということの大切さがわかる内容となっています。
このシーンがあることでただ単純に敵を倒すだけではなく、意味がある事なんだと見ている側がわかるようになっています。
ラートムを唱えるシーン②第148話
続いては話は進み、第148話の中でラートムを唱えるシーンについて解説します。この時のシーンではラートムを行うことで弔いの祈りを捧げているアイリスの全身を正面から写し、顔のアップへと続きます。
ラートムを行うアイリスの様子がよく分かるシーンとなっています。なぜこのような描写なのかというと、アイリスの心情を表現しているからなのです。
アイリスは徐々に聖陽教へ疑問を持ち始めます。今までとは違い、自分自身の気持ちに雑念が入り始めているということがわかります。このアイリスの気持ちの変化はこの後の話の展開にもつながって行くこととなります。
【炎炎ノ消防隊】ラートムはキリスト教のアーメンと同じ祈りの言葉
炎炎ノ消防隊の作中で行われるラートムの由来や意味などをご紹介しましたがいかがだったでしょうか?ラートムは炎炎ノ消防隊の造語ではありますが、キリスト教の方達が唱える「アーメン」と同じ意味があることが分かりました。
ラートムの意味を知り、もう一度、炎炎ノ消防隊をご覧になってみてください。漫画では全34刊が発行されています。また、アニメでは第3期の制作が発表されていますので、テレビで放送される日も遠くはないでしょう。
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