女子高生殺人事件が発生した作中において、隠された悲しい真相が徐々に浮き彫りになってくる徒花は、復讐の内容も含んだサスペンス作品となっています。物語の中心となる殺人事件の犯人が誰か、というのが一番の肝になってくるわけですが、本記事ではそんな事件の犯人についてあらすじ等も含め解説していきます。
目次
【徒花adabana】とは
adabana-徒花- #読了
蝶の墓標で思い出したので布教
親友を惨殺した少女の自首から始まる全3巻の傑作漫画
ストーリー構成・表情描写・多視点の演出の巧さに圧倒される。
どこかリアリティのある物語と絵の力が相まって涙が出るし、ラスト数ページを読んだ時の感情は自分の言語力では表現できない pic.twitter.com/KLVIN1W0xd— ベルディ@推理小説好き (@verdy_mystery) October 19, 2023
親友の壮絶な死を始まりとして、主人公が復讐のために動く物語を描いている徒花は、サスペンス作品として知られています。まずは作品としての概要から解説していきましょう。
徒花adabanaの作品概要
この漫画は泣ける…
頼むみんな読んでくれ…途中かなり辛い場面も沢山もあるけど、最後に二人は報われたんだと俺は思う pic.twitter.com/ntdnir9U3I— 翠 (@sasakisyokudoo) May 21, 2022
徒花は正式な作品名を「adabana 徒花」として、2020年から2021年までグランドジャンプにて連載されていた漫画作品です。作品のジャンルとしてはサスペンスに該当し、単行本は全3巻で構成されています。
漫画作品にすると3巻というのは極端に少なく、打ち切りでも起きたのかといった数になっていますが、上巻、中巻、下巻という3部作という形で構成されているのです。
徒花adabanaの作者プロフィール
https://twitter.com/hayabutamask/status/1419634706233008129
- 作者名:NON(のん)
- 生年月日:1987年1月26日
- 血液型:A型
- 出身地:佐賀県
- 出身:埼玉県立久喜北陽高等学校、日本デザイナー学院
- SNS:Twitter、インスタグラム
徒花の作者はNON氏が務められていました。実は漫画家をする以前にはアイドルをやっていたようで、専門学校に本デザイナー学院の在学中にスカウトを受けたらしく、およそ2年半ほどの間アイドル活動をしていました。
他の代表作として「デリバリーシンデレラ」「ハレ婚」などが挙げられ、絵の美麗さには非常に高い評価があります。現在は結婚されています。
【徒花adabana】の主な登場人物
今夜はまとめて可愛がってやろう#adabana pic.twitter.com/NYbIsZ4l7Z
— Hyde (@HydeOfficial_) January 22, 2021
サスペンス作品という事で、やはり登場人物がどんな人で、どのような人間関係のつながりがあるのかといった点は気になるところかと思われます。作中の主な登場人物をご紹介していきましょう。
藍川美月(あいかわみづき)
『adabana 徒花』
原案:手塚だい
漫画:NON雪積もる小さな町で起こった殺人事件。
被害者は女子高生・五十嵐真子。
犯人として警察に自首して来たのは同級生の藍川美月。事件の真相が明らかになると共に、闇に抗おうとして寄り添っていた2人の少女の姿が浮かび上がる切なくも素敵な物語です。 pic.twitter.com/5QKlyG6uTc
— 百合文壇バー (@yuribundanbar) April 22, 2021
まずは主人公となる人物、藍川美月です。外見はウェーブがかった黒髪が特徴的となっており、左目の下にほくろが見られます。女子高生殺人事件の犯人として、自ら警察へと出頭してきました。
自主という経緯から五十嵐真子殺人事件、石田辰夫殺人事件の2つの事件の主犯として見られており、弁護士の前でも一貫して自らが犯人だと述べたものの、後に両事件とも彼女が犯人ではなかったことが判明します。
実は彼女と五十嵐真子は親友であり、その親友を殺害した真犯人を探し出して復讐を成し遂げるべく、自ら罪を被っていたことが判明するのです。
五十嵐真子(いがらしまこ)
https://twitter.com/i9_masaya/status/1426487441670631429
続いては、五十嵐真子です。作中において中心となる女子高生殺人事件において殺害された被害者であり、藍川と同じ高校に通っていた女子高生でした。物語自体も、彼女の遺体を発見した藍川が処理をするシーンから始まります。
世間では同級生であり友人でもあった藍川が自主をしたことから彼女が殺害した犯人だと報じられたものの、実際は彼女の犯行ではなく自殺であったことが後に判明します。
母親を亡くし、父親の借金を返すために叔父のラーメン屋でアルバイトをし、秘密のバイトを強要させられていた過去があり、元気で優しい性格でありながらも周りの男が全員クズという報われない少女でした。
暁裕樹(あかつきゆうき)
真子のストーカー、かつ元カレの暁祐樹です。頭脳明晰且つ顔立ちも整っている彼はSNSでも人気の高い大学生であり、ファンクラブができるほどの人気でした。
傘を忘れた真子に傘を貸した事から接点を持ち始め、その後誠実な態度で付き合っていました。叔父の悩みを打ち明けた際には、自分から話を付けて一戸浜子を救います。
しかしその本性は独占欲が強く人を何のためらいもなく利用する人物で、叔父の辰夫とは裏でつながっており真子を自殺へと追い込んだ真犯人である事が発覚します。
石田辰夫(いしだたつお)
真子の叔父にあたる人物、石田辰夫です。ラーメン屋をしておりそこで真子はアルバイトをしているのですが、実際は祐樹や実兄でもある真子の父親と手を組んで、彼女のいかがわしい動画を撮影、販売していたのです。
この真相は美月も後に知ることとなり、一人で店を訪れた美月に襲い掛かりますが、出前から帰ってきた真子に更に襲撃され、殺害されることとなります。
【徒花adabana】あらすじをネタバレ
『adabana 徒花』追加しました!
身体を切断された被害者は女子高生・五十嵐真子。そして、犯人として警察に自首して来たのは、同級生の藍川美月。犯行を供述する美月だが、そこにはある違和感が…!?
(※性暴力やグロ表現あり)https://t.co/SQZxMrNBpz pic.twitter.com/J0ojt3okqU— 百合図鑑 (@yurizukan) November 13, 2022
登場人物の中でも、自殺した真子や親友であった美月以外は非常にゲスな人間性をしている事が分かります。ここからは徒花の上巻から最後の結末に至るまで、それぞれのあらすじをご紹介していきます。
徒花adabana上巻のあらすじネタバレ
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物語冒頭、胸から血を流す少女の遺体を、泣きながらのこぎりを使って解体している一人の少女が居ました。その少女、藍川は始末を終えた後、警察署へと向かい自らが殺害し死体遺棄をしたとして警察署に自首します。
事件の発端は、死亡した少女、真子の叔父が営んでいたラーメン屋での出来事で、性的暴行を加えられそうになっていた藍川は、自分を守るためにとっさに包丁で殺害したといいます。
その現場に居合わせた真子が一緒に遺体を隠そうと提案し実際に遺棄したのですが、しつこいストーカーである元カレの暁、そして死体遺棄がバレるかもしれないという恐怖で憔悴していきます。
そして、暁との関係を誤解してパニックになった藍川と真子は包丁を掴んでの取っ組み合いになり、気が付くと真子は血を流して倒れていた、という藍川視点で内容が語られています。
徒花adabana中巻のあらすじネタバレ
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— うめか◎ウメボシ仮面 (@umeboshikamen) July 22, 2021
続く中巻は被害者とされる真子視点で、母親を亡くした彼女には親友である藍川にも言えない、叔父との秘密のバイトがありました。そんな中で暁が傘を貸すことで出会いますが、秘密のバイトが二人の邪魔をします。
そこで暁が叔父と直接話を付けに行き、無事自分が救われたと思ったのもつかの間、暁が真子を盗撮していたことを知り、一気に絶望の淵に追い込まれます。更に暁と叔父が繋がっていたことまでも知ります。
真相を知り激昂した彼女は、ラーメン屋で藍川が叔父に襲われているのを見て、刃物で叔父を殺害しました。知られざる真子の真実が彼女の視点で語られる中で、叔父を自らの手で殺害した事実がラストに描かれます。
徒花adabana下巻のあらすじネタバレ
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— архив (@YJ1NX0) January 22, 2022
真子の叔父を殺害したのは藍川ではなく真子自身であり、二人で井戸に死体を遺棄するところまでは合っていました。そしてその後、叔父のパソコンを発見して秘密のバイト、いかがわしい動画を売っていた事実を知ります。
更には暁も結託していたと思しき事実を知った藍川は、二人への怒りを覚えつつも盗撮データの削除を要求しますがこれを拒否、そして暁と藍川のやり取りを誤解した真子は、精神的に病んでしまいます。
その後暁と接触した真子は、自らの父もが秘密のバイトに関係していたことを知り絶望、ナイフで自害したのです。これがすべての真相であり、これを見つけた藍川は真子が手にしていた携帯から暁からの脅迫がいくつも届いていたことを知ります。
自殺の原因が暁にあるとした彼女は復讐を決意、こうして自主をした時間軸に戻り自白をしますが、弁護士が証言に違和感を覚え、更に暁のドライブレコーダーの音声から藍川が犯人であることを否定する証拠を見つけたのです。
裁判所日、藍川は自首したにもかかわらず犯行を否定し、暁の名前を出すことによって重要参考人として引きずり出しました。結果、藍川は死体遺棄及び殺人等の罪で実刑判決、暁はストーカー規制法違反などで逮捕されました。
徒花adabana結末のあらすじネタバレ
美月と真子 #adabana pic.twitter.com/fHdYBZ3icJ
— NON (@non620126) September 29, 2022
復讐を望む形で成功させた藍川は、懲役9年の実刑判決を受けますがそれを受け入れました。そして数年後、出所した彼女をかつて弁護した辻が訪ね、誠の思い出の場所へと車を走らせます。
車の中では、藍川が東京で新しい生活を始める事、社会的制裁を受けた裕樹は薬物中毒に嵌った事、真子の父親も、路上生活の末に亡くなった事などを語りました。
たどり着いた目的地は、真子が生前に一番好きだと語っていたマジカルランドです。そこで、真子のことを思い出しながら物語は閉じます。
【徒花adabana】叔父の石田と真子の死の真相
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真子および藍川の二人の少女の周り、特に真子の周りにはクズな男しかおらず、そんな状況で死んでしまった真子の復讐を果たそうとするのが主軸でした。最後に、叔父や真子の死の詳細についても解説します。
叔父の石田を殺した犯人は?
adabana-徒花- 3話
藍川美月 顔パンチ pic.twitter.com/lWZQNwXrTW— 一 (@l37569441) May 1, 2023
ラーメン屋の店主であった真子の叔父、石田辰夫ですが、彼を殺害したのは藍川ではなく真子当人でした。そしてその日は、動画のファンだという男と会い、暁と叔父がグルであったことを知ってしまった日だったのです。
そして、出前から戻ってきたときには藍川を叔父が襲っていた場面であったために、無我夢中で刃物で叔父を突き刺した、というのが真実でした。
真子は自殺だった?
⭐️スタッフオススメ⭐️
身体を切断された被害者は女子高生・五十嵐真子。そして、犯人として警察に自首して来たのは、同級生の藍川美月。犯行を供述する美月だが、そこにはある違和感が…!? 闇に抗う2人の少女の“秘密”をめぐる、リアル・サスペンス!!
【adabana 徒花】配信中!! #adabana #徒花 pic.twitter.com/EGSQVAGB8c— ジャンプBOOKストア! (@jump_bookstore) August 20, 2020
12月15日、暁と真子は話をしており、元々動画は叔父と真子の父が協力して売っていたという事実を伝えます。父の借金のためにやっていたことも何もかも無に帰し、更に親友にも動画が知られたことで自殺を選んだのです。
【徒花adabana】二人の少女の悲しい運命・復讐に引き込まれる
https://twitter.com/non620126/status/1351182672454934529
冒頭の時点からすでにサスペンスの予感しかない作品ですが、その実話を追っていくごとに2人の少女を取り巻く悲しい事実が明らかになっていく作品となっています。詳細が気になる方は是非とも読んでみてください。